運動で体力・筋力をつける

COPDの患者さんは、息切れの症状が強くなってくると、ちょっとその辺を散歩するだけでも体がしんどくなるため、外出がだんだんと億劫になり、家にいる時間が長くなってしまいます。外に出ない状態が続くと精神的に落ち込むだけでなく、運動不足のために足腰も弱って、いよいよ寝て起きるだけの病人の生活になってしまいます。

「これだけ息苦しいのだから家で安静にしておくのが一番ではないか」と思いがちですが、これは間違いです。筋肉は日常生活の中で毎日使っていなければ、自然に衰えていくものです。運動が不足すると呼吸をするときに使う呼吸筋さえも弱くなるため、動くと以前よりも息切れが激しくなり、ますます運動しなくなる(できなくなる)という悪循環が待ち受けています。

安静だけの生活は骨粗鬆症も進み、足腰の筋力低下が起こり、体のバランス感覚を低下し、ちょっとしたことで転倒・骨折、そして寝たきりになりやすくなります。息切れが強いのに体を動かすことはつらいことですが、適度な運動を日課として続けることで、筋力が強くなり簡単に疲れることがなくなるだけでなく、気持ちもリフレッシュしますし、慣れてくると少ない酸素の量で効率よく運動も出来るようになります。

COPDの運動療法は、患者さん一人一人の体力や症状にあわせたものを選び、それを定期的に続けてこそ効果があるものです。運動療法を開始するに当たっては、主治医に必ず相談して、安全で効果があり、楽しみながら継続できるものを選ぶようにしましょう。

  

息切れを楽にする呼吸法を知る

COPDが進行してくると、それまでよりも息苦しさが増し、それにつれて呼吸のスピードも速くなってきます。これは気管支の内部が狭くなって息を吐くときに気道がつぶれてしまい、吐き出す空気の量が減るために、肺の中に空気がたくさん残ってしまうからです。そのためCOPDの患者さんは、正しい呼吸法を見につけて、少しでも日常生活を楽にすることが重要となります。

方法はいたって簡単です。口笛を吹くような感じで、口先をつぼめて、ゆっくりと息を吐く(吸うときの2倍くらいの時間をかける)ようにするだけです。口をすぼめて呼吸をすることにより、気道の内圧が高まり、多くの空気を肺から出すことができます。

加えてCOPDが重症化してくると、浅い呼吸になりがちなので、息を吸うときには腹式呼吸(横隔膜を押し下げるようにして吸い込む)も取り入れることにより、1回の換気量を増やし、呼吸数を減少させることができます。.個人差はありますが、1分間にだいたい10回以下の呼吸を目標に練習するとよいでしょう。

  

慢性疾患のある方は肺炎球菌ワクチンを

COPDをはじめとする慢性の呼吸器、心臓、肝臓、腎臓等の病気を お持ちの方は一旦肺炎になると重症化しやすく、死亡率も高くなる傾向にありますので、肺炎球菌ワクチンの接種が勧められています。肺炎球菌ワクチンは、肺炎の原因となる病原体の中で最も多い「肺炎球菌(23種類)」に対して抗体を作ることにより肺炎を予防します。

ワクチンの摂取は、日本では一生に1回しか認められていませんが、一度摂取すると、約5年間は有効です。受ける時期はかかりつけの医師と相談して決めるとよいでしょう。肺炎球菌ワクチンはインフルエンザワクチンほど知られていませんが、高齢化社会を迎え、慢性疾患のある方が増えている今日、摂取者の数は年々増えつつあります。

ワクチン接種には、健康保険が適用されず、全額自己負担となりますが、摂取により医療費の抑制が期待できることから一部の自治体では助成金を出すところも出てきました。ワクチンの摂取を考えている方はお住まいの自治体や地域の保険所などに、問い合わせてみるとよいでしょう。

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慢性呼吸不全

呼吸不全とは、血中の酸素と二酸化炭素が異常値を示し、生体が正常な機能を果たすことができない状態です。厳密には、血中の動脈血酸素分圧(PaO2)が60mmHg以下、二酸化炭素分圧(PaCO2)が45mmHg以上を呼吸不全と言います。また、この状態が1ヶ月以上続く場合には慢性と規定されます。

酸素分圧だけが低下するⅠ型呼吸不全と、酸素分圧が低下し、二酸化炭素分圧が上昇するⅡ型呼吸不全があります。Ⅰ型の代表的な疾患には間質性肺炎や肺線維症が、Ⅱ型の代表的な疾患には肺結核後遺症が挙げられます。COPDはこのどちらにもなる可能性があります。

Ⅰ型では二酸化炭素の蓄積がないので、十分量の酸素を吸入することができます。一般的には吸入酸素量は安静時は1~2ℓ/分が適当です。歩行時や入浴時にはこの2倍量とするのが普通です。

Ⅱ型では、不用意に高流量の酸素を吸入すると血液中の二酸化炭素が上昇し、頭痛や意識障害を起こすことがありますから注意が必要です。一般的には低流量の酸素吸入とし、血液ガスの検査により適正な量を決めます。

  

COPDと新型インフルエンザ

季節性のインフルエンザに比べると毒性は弱い、いや同じだと論議を呼んでいる新型インフルエンザですが、どちらにしろCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする呼吸器疾患をお持ちの患者さんは、呼吸機能の悪化を招くだけでなく、病気やこれまでの喫煙で傷めた期間の粘膜から、別の細菌に感染してしまう「二次感染」を引き起こす可能性があります。

外出時のマスクの着用や帰宅時のうがい・手洗いの励行は当然ですが、秋以降の再流行の可能性も考えて、肺炎球菌ワクチンの摂取(保険は利きません)を是非行っておきましょう。

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在宅酸素療法とは

在宅酸素療法とは、COPDが進んだ状態でも快適な生活が送れることを目的に、自宅で酸素吸入を行なう治療法のことです。禁煙服薬栄養、運動などの治療効果を最大に高める「包括的呼吸リハビリテーション」の一項目という位置づけになっています。「いよいよ、酸素を吸入するほど重症化してしまったのか…」と悲観するのではなく、リハビリを行い、活動度を高めるために行うということ理解しましょう。

酸素療法は、1.安静にしていても低酸素血症が続く、2.ちょっと歩いただけでも低酸素血症になる、3.就寝中も低酸素血症の症状が現れる、場合に必要となります。ただし、健康保険の適用には厚生労働省の定めた基準に該当していないといけません。例えば、慢性呼吸器不全では「動脈血酸素分圧(PaO2)」と呼ばれる、肺の血液を酸素かする能力の指標によって決められます。

COPD以外にも、肺がん、間質性肺炎・肺線維症、肺結核後遺症などの病気が、健康保険の適用対象となっています。日本では、COPDに慢性呼吸不全患者が、長期にわたって酸素療法を行なう患者さんの半分近くを占めるにいたっています。

  

在宅酸素療法が適応になる人

高度に低酸素血症である慢性呼吸不全では、睡眠時または運動をしたときに著しい低酸素血症を生じ、医師が必要であると認めた患者さんが在宅酸素療法の適応となります。

パルスオキシメーターによる酸素飽和度から求めたPaO2(肺における血液酸素化能力の指標)を用いることは問題ありませんが、導入時には血液のCO2も計測することができる動脈血ガス分析の方が望ましいとされています。これは、酸素吸入だけを行なうと、血液のCO2の上昇を起こし、危険になることがあるからです。

酸素吸入は次の方法で行ないます。


  • 家庭のコンセントからの電源を利用して、空気中の酸素を濃縮する「据え置き型」

  • 外出時にも運搬ができる小型サイズの酸素ボンベを利用するもの

  • 液体酸素の利用


通常は自宅で大きなタンクの液体酸素を入れ、小型のものに充填しなおして、移動の際に使います。

  

タバコはなぜ簡単にやめられないのか?

タバコが体に及ぼす害を十分わかっているのに、なかなかたばこがやめられないという人は少なくありません。また、普段は、「たばこくらいその気になればいつだってやめられる」とたかをくくっていたのに、実際やってみると、苦しくてついタバコに手がのびてしまう・・・、こんな人もいることでしょう。
そのたびに「自分はなんて意志が弱いんだろう」と落ち込むのではないでしょうか?

しかし、近年の研究では、タバコがやめられないのは意志の問題だけでなく、喫煙が「ニコチン依存症」という薬物依存尾の一種を引き起こすことが原因であることがわかってきました。これは血液中に一定のニコチン濃度がないとイライラや焦り、不安感などの離脱症状(禁断症状)を起こすものです。

ニコチン依存度を判定する指標として、ニコチン依存度テストがよく用いられています。このテストで、是非ニコチン依存度を調べてみましょう。依存度の高い人は、禁煙に強い意志が必要です。

喫煙が病気に悪いのは知っているけど、ニコチン依存症のためにタバコがやめられない・・・それなら、本数を減らして徐々に禁煙すればよいだろうと考える人もいるでしょう。
しかし、徐々に本数を減らすのは、完全に禁煙するまで非常に時間がかかる上に、いつの間にかもとの本数に戻っていたということも少なくありません。つらくても一挙に禁煙をした方が成功率は高くなります。

ニコチン依存症によるイライラや不安感などの離脱症状は、禁煙を開始してから3日目くらいまでが一番つらいといわれています。この時期をいろいろな方法で乗り切れば、離脱症状は1~2週のうちに消失してくるはずです。1~2ヵ月後には、咳や息切れなどが改善してきます。この時期を何とか乗り切って禁煙を成功させましょう。

  

禁煙を成功させるためには

禁煙を始めるにあたり、何の準備もなく、いきなり「さあ、今日から始めるぞ」とスタートしてうまくいく場合もありますが、実際にはなかなか難しいかもしれません。そこで、まず禁煙の準備から始めることをおすすめします。

禁煙の目的を確認する
自分がなぜ禁煙しなければならないのか、その目的をよく確認しましょう。COPDの場合は治療のためであること、禁煙しなければ、どんどん病気が進行することを肝に銘じましょう。

自分の喫煙パターンを知る
1日のうちで自分がどんなときにたばこを吸うのか、日記をつけるなどして観察してみましょう。自分の喫煙パターンがわかります。そのときに、どうすれば衰退気持ちが抑えられるか、または代替案(気分転換方法)を考えます。

周囲に禁煙を宣言する
禁煙に対する逃げ道を作らないためにも、あるいは周囲に協力してもらうためにも、禁煙を宣言しましょう。

準備が整ったら、いよいよ実行です。次のような工夫が効果的です。

禁煙と結びつく行動パターンを変える
・朝、起き抜けに一服する→朝起きたら、すぐに歯を磨き、洗顔をする。
・食後のコーヒーの後に一服→コーヒーをお茶に替える。

喫煙のきっかけとなる環境を改善する
・たばこ、ライター、灰皿を捨てる。
・お酒の席などをできるだけ避ける(横浜市の新条例は居酒屋での喫煙は禁止となるようです)。

自分を励ましたり、仲間を見つける
禁煙日誌をつけたり、インターネットの禁煙マラソン、禁煙サイトの掲示板などに参加して、自分を励ましたり、仲間と励ましあうことは、継続の支えとなります。

  

ニコチン代替療法について

長年、喫煙習慣があり、それが原因でCOPDになった人の多くは、ニコチン依存度がかなり高いと思われます。その人たちが禁煙しようと決心しても、自分の意志の力だけでは難しい面があるでしょう。そんなときは、専門の医師の指導のもと、ニコチン代替療法を行う場合もあります。

ニコチン代替療法とは、喫煙以外の摂取法によってニコチンを補充して、血中のニコチン濃度を保ち、離脱症状を抑えようというものです。現在日本で行なわれているニコチン代替療法には、ニコチンパッチとニコチンガムがあります。

ニコチンパッチ
丸い張り薬で、皮膚に張ることによって、皮膚からゆっくりニコチンを吸収させる仕組みになっています。毎日1枚、腕やおなか、背中に張るだけですから、非常に簡単です。

高用量・中用量・低用量の3種類のサイズがあり、たいていは大きいパッチから小さいパッチへと徐々に替えていきます。代替2ヶ月くらいで使用を完了するのが目安です。なお、ニコチンパッチを使用するには医師の処方が必要です。

ニコチンガム
特殊なガムの素材にニコチンを含めてあるもので、口の中の粘膜からニコチンが吸収されます。たばこの代わりに、ガムをかんで気を紛らわす効果もあります。

ガムの量を徐々に減らしていき、だいたい2~3ヶ月を目安にやめるようにします。ガムをやめて禁煙に成功した後も、安心のために常に1個携帯しているとよいでしょう。なお、ニコチンガムは薬局などで販売しています。